コットン以上にコットンらしい生地が誕生。
その名も、More Than Cotton

モアザンコットンブラックのセットアップ

More Than Cotton ────。その名のとおり、コットンを超えることを目標に掲げた新たな素材です。4月、その生地を縫い上げたセットアップがデビューします。

日本の技術を結集した新素材

古き良きコットンウェアには惹かれるけれど、往年の技術でつくられたそのウェアは現代人には少々重く、なによりシワが気になる。風合いはそのままに、そんな印象を払拭する素材はつくれないものか ──── お客様からのリクエストがかたちになったのがMore Than Cottonです。

コットンにはシワが入りやすいという特性があります。ラフなスタイルの仕上げにおいては“味”と呼ばれる経年変化ですが、着るシーンを選ぶのも事実。一日袖を通したコットンスーツにアイロンをかける、というのはいまも昔も服好きのルーティンです。

試行錯誤を重ねること数年。我々が出した結論は、コットン以上にコットンらしい風合いをリサイクルポリエステルで表現しようという試みでした。

大阪・泉州の辰巳織布での製造工程を写した一枚 製織を担ったのは織物で有名な大阪・泉州の辰巳織布です。

言うは易しで、素材、加工、そして製造を託す工場の選定……いずれも難航を極めました。そうしてたどり着いたのが、軽やかでシワになりにくいリサイクルポリエステル100%の糸を高密度ギャバジン(*)に仕立て、とびきりの化粧を施す、というものでした。
*)バーバリーの創業者、トーマス・バーバリーが考案した綾織りの生地のこと。

そのものづくりの要となる織布工場と仕上げ加工場を訪れました。

職人の勘がものをいうサイジングという工程

日本を代表する織物産地、泉州の東岸和田駅から歩いて10分ほどの住宅地にひっそりと佇む辰巳織布。工場に足を踏み入れると、たいそうにぎやかな織機の駆動音に出迎えられました。

辰巳織布の工場にて織機が稼働している様子 辰巳織布は海外のメゾンブランドからも頼りにされています。

辰巳織布は1960年に創業した会社で、2代目の辰巳雅美さんが高密度織物にシフトしました。

かつて娘を嫁に出す家は嫁入り道具を用意しました。桐たんす、鏡台、羽毛布団がそれです。雅美さんは羽毛布団の側生地に目をつけ、これをメニューに加えるべく工場を最新設備でアップデート。採算がとれない時期が続きましたが、粘り強く取り組んで軌道に乗せます。最盛期には日本国内における側生地の40%のシェアを占めました。

打ち込む糸の本数が増えればそれだけ時間がかかるし、リスクも増大します。また、原料となる糸は均一ではありません。部位によって太かったり、細かったり、強かったり、弱かったりします。レシピを構築しても都度調整を加える必要が生じます。調整は職人の経験と勘に委ねられる部分です。

3代目の仁彦さんが家業を継いだ現在、その技術は海外のメゾンブランドからも高く評価されています。

エアージェットルーム(高速自動織機) その糸はエアージェットルーム(高速自動織機)で織られます。

そんな辰巳織布だから、高密度織物が避けては通れない問題も難なく克服しました。ピリング(毛玉)がそれです。

仁彦さんはいいます。

「採用した糸はピリングが起きにくい特性をそなえていますが、密に織ろうと思えばどうしたって摩擦が大きくなり、毛は絡まります。ではどのように乗り切ったのか。ひと役買ったのがサイジングでした」

サイジングとは糊付けの工程をいいます。糸一本一本を糊でコーティングするもので、打ち込む負荷によるダメージを軽減する狙いがあり、ピリングの抑制にも効果を発揮します。

糊の組成や分量などを正確に見極めなければならないサイジングもまた、職人のキャリアがものをいう工程です。

どこまでもしっとりとした手触りは、半世紀を超える歴史が紡いだ、熟練の職人仕事があってはじめて可能となった領域です。

さざ波のような穏やかなシボ

木曽三川に数えられる長良川と揖斐川に挟まれた岐阜県南西部の街、瑞穂に岐センはあります。糸を撚る。織る。染める ──── 織物はそのすべての工程において、良質な水が欠かせません。

木曽川水系の川に囲まれるように建つ岐セン 木曽川水系の川に囲まれるように建つ岐セン。

工場の眼下に同じく木曽川水系の五六川が流れる岐センは1943年に創業した染色加工の会社で、日本ではじめて樹脂加工による織物の防シワ加工の工業化を実現したといわれます。均一性が求められた時代ならではの加工であり、脱・均一の機運が芽生えると、いち早くこれに着手、新たに考案したシワ加工は岐センの顔となりました。

シワ加工といっても着込むことで生じるシワではありません。岐センのその加工は質感をもたらす加工をいいます。

現在7種類をラインナップするというシワ加工のひとつが、NAT加工。NATは“ナチュラル・エアリー・テクスチャー”の略です。

我々がMore Than Cottonの仕上げに選んだのがこの加工でした。

岐センの執行役員、栗山幸治さんが解説してくれました。

「NATが誕生したのはいまから7〜8年前のこと。1年ほどのテスト期間をかけて完成させました。それまでのシワ加工の主力はエアータンブラーでした。文字どおり空気の力を使ってシボをつくりだすものです。ご家庭の乾燥機の工場バージョンと思ってもらえば当たらずといえども遠からずでしょう。NATはエアータンブラーを深化させた加工で、より細かなシボを入れることが可能になりました。我々はそのシボを“そよ風に吹かれて水面にあらわれたさざ波”と表現しています」

NAT加工の工程を経たその生地はじつに穏やかなシボを浮かべていました。我々が目指した、たしかにコットンを彷彿とさせる凹凸です。

岐センの染色機たちが並ぶ風景 岐センには42台の染色機が揃います。

ブランドのアイコン的パターンを採用

“More Than Cotton”な風合いをそなえつつ、コットン特有の泣きどころを解消する ──── 助走期間をたっぷりとったMore Than Cottonはこのハードルを軽々と越えてみせました。

More Than Cottonの生地素材 ぱっと見はコットンそのものです。

このたびラインナップしたセットアップはそんなMore Than Cottonの地力を知るのにまたとない一着です。

パターンのベースとなったのはブランド定番のイージートラウザーとテーラードジャケット。前者は五十嵐徹氏、後者は吉田泰輔氏という指折りのテーラーが手がけており、いずれも高く評価されています。パンツは22年秋、ジャケットは23年春にリニューアルを敢行、着心地はもとより時代感を踏まえたマイナーチェンジによりさらにファンを増やしています。

あらためて解説すれば、イージートラウザーはドローコードに象徴されるリラックスした佇まいをもつパンツです。フィット感と美しいシルエットを両立させた立体的な腰まわりはテーラードの思想が根底にあったればこそです。

テーラードジャケットはスーツ黎明期の手法を紐解いた、シルエットをシャープにみせるパターンがその特徴です。

リニューアルの要諦は ──── イージートラウザーはたるみを解消した股ぐりのパターン、テーラードジャケットは胸まわりにゆとりをもたせ、アームホールのフィット感を高めたパターンにあります。いずれもミリ単位の修正ながら、比べてみればその差は歴然としています。

どこに出ても恥ずかしくない風格があり、なによりシワを気にしないで済むMore Than Cottonはつい手が伸びる、頼もしい相棒になってくれるはずです。

More Than Cottonのジャケット3色展開の各カラー 色展開はブラック、ネイビー、ベージュの3色。ちょっと気取りたい週末のある日にも◎。


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