Reactive denim(リアクティブデニム)

 

デニム聖地の染めと織りの粋。
色落ちしない“リアクティブデニム”。


「色落ちしないデニムトラウザーを作りたい」。

そんな想いを持って始動した製品開発において、「色落ちしない」という点は難なくクリアできた。

デニムとは、一般的にインディゴによって染色したタテ糸を未染色のヨコ糸と織り上げることで生まれる生地。インディゴは粒子が大きく、糸の表面に付着させることで色をつけているため、剥がれやすく色落ちしやすい。





したがって、色落ちをさせないためにはタテ糸をインディゴ染めではないものに変えればいい。ところが、問題は「どこまで表情を本来のデニムに近づけられるか」ということだ。

昨今では「デニム」の定義が拡大しているとはいえ、いわゆる“デニムライク”では生地へのこだわりを掲げる「+CLOTHET」が作る意味はない。

目指すべきは、デニムと見間違うほど“極限までデニム見えする、色落ちしないデニムトラウザー”。

それを実現するためには、地場産業として本格的なデニムを手がけるプロフェッショナルの力が不可欠。そこで白羽の矢を立てたのが、広島の福山、岡山の児島という国産デニムの聖地だ。


Photography:Yuco Nakamura
Edit:K-suke Matsuda




繊細な染料選定により、デニム見えする色に染め上げる。





色落ちしないデニム生地を実現するために選んだのは、「反応染め」という手法。



1956年にイギリスで開発された「反応染料」を用い、化学反応を起こすことで糸を染める染色法だ。





表面に付着するインディゴとは異なり糸の芯まで染まるため、洗濯をしても色が落ちにくく、陽に焼けづらいなど、堅牢度に優れているのが特徴。



手がけたのは、広島の福山にある「廣島織染協同組合」。1952年の創業以来、染色加工に特化している会社だ。





「反応染め」自体は綿の染色方法として国内でも広く取り入れられているが、「廣島織染協同組合」では製品として仕上がった時のことを意識し、繊細に染料を使い分けている。





たとえば、反応染めにはブリーチやレーザープリントなどの後加工を施した際に加工部分が減色してしまうという欠点があるが、加工後も同系色に色が変わるようにコントロールしているという。そういった点を加味して糸染色を行うのは、決して一朝一夕ではなし得ない。長年の経験と飽くなきこだわりがなせる技だ。



今回依頼した糸に関しても、風合いを本来のデニムに近づけるためにあえて古いタイプの染料を選定したと代表の宇田さんは語る。





「反応染料には新タイプと旧タイプがありますが、現在は堅牢度の高い新タイプが主流になっています。ですが、弊社では今回の企画のように風合いを重視する場合には、あえて旧タイプの染料を使用することもあります。新しいものでは綺麗に染まりすぎるため、古いものの方が色合いも柔らかく、よりインディゴらしい顔つきになるからです。時代には反しているので、染料としては次第に希少になってきており、廃盤のものも増えているのですが、さまざまな染料を使い分けることでお客様の求める染色を実現しています」。



「廣島織染協同組合」では、反応染め以外に、硫化染めやインディゴ染めも手がけている。だからこそ、“デニムらしさ”の追求にも余念がない。こうして、“色落ちしないデニム糸”が完成した。




本来のデニムと同じ規格で織り上げた、“リアクティブデニム”。





どれだけ糸の染めをインディゴに近づけたと言っても、織り方を誤ってしまえば目指しているデニム顔には仕上がらない。



そこで、デニム作りのメッカ・岡山の児島にある機屋「山足織物合資会社」に機織りを依頼した。





本来のデニム生地に使用されるインディゴ糸は、色落ちしやすいために粒子と生地を織り上げる際に織機が汚れてしまうのが難点。そのため、インディゴ生地を嫌厭する機屋も多い。だからこそ、デニム生地に特化した機屋も多いのだそう。当然、デニム生地におけるノウハウと経験値はそこに蓄積されていく。





「山足織物合資会社」もまさにそんな機屋の一つ。何台ものシャトル織機や革新織機を有し、近年ではジャガード織りのデニム生地も手がける、デニム生地作りのエキスパートだ。





「今回の生地に関しては、デニム顔に近づけるために、密度や糸の本数を本来のデニムとまったく同じように仕上げました」と、代表の山足さんは語る。



生地が柔らかすぎるとデニムには見えない。逆に固すぎるとカジュアル感が増してしまい、トラウザーに求めるドレッシーさに欠けてしまう。ちょうどその間を行くような、バランスの良い風合いのデニム生地が完成した。





こうして試行錯誤を重ねた末に誕生したのが、“リアクティブデニム(反応染めのデニム)”という生地だ。これを国内で縫製することにより、ドレッシーなトラウザーに仕立てた。


どこまでもデニムに近い顔つきで、洗濯をして色落ちしない。当然白シャツをタックインしても色移りしないので、ドレススタイルのハズしにもうってうけの一本だ。


令和という新たな時代を作るあなたのビジネススタイルに、ぜひ取り入れて頂きたい。