合成繊維の聖地で生まれた新素材、「テックスナイロン」の可能性

テックスナイロンイージージャケットとトラウザー

ビジネスのカジュアル化がピークに達したいまだからこそ、洗練されたモダンなセットアップスタイルを。そして高温多湿で梅雨もある日本だからこそ、さらっとドライで快適な着心地とともにお楽しみいただきたい───そんな想いをカタチにするためまず最初に考えたのは、この地球規模の気候変動にも対応できる、画期的な新素材を探し求めることでした。

かつてないサラッと感を味わえる、珠玉の春夏用セットアップを求めて

従来のジメジメとした気候に加え、猛暑や酷暑が毎年の恒例となりつつある日本の夏。しかしいくらワークスタイルが多様化し、ある程度のカジュアルさが容認されるようになった時代といえども、オン&オフの切り替え、あるいはどちらにも対応できる汎用性の高いアイテムを選ぶことは、現代都市生活者の必須要件となっています。ゆえに+CLOTHETでは、これまでも最高の素材を駆使し、上品なルックスと快適な着心地を兼ね備えるテーラード仕様のジャケットやトラウザーズなど、さまざまな製品を開発してきました

日本を代表する合繊メーカーのカジグループがある石川県金沢の風景

そして25年春夏に向けたさらなる進化、新たなチャレンジとして、凛としたテーラードらしい佇まいを損なうことなく、汗ばむ季節も肌にまとわりつかない軽快な着用感を獲得できる、革新的製品の開発に着手。テキスタイルチームを中心とした徹底的なリサーチと検討を重ねた結果、日本を代表する合繊メーカーのカジグループが独自開発した高機能ストレッチナイロン素材に白羽の矢を立て、「テックスナイロン」と命名し、商品展開することを決めました。さらに国内の工場で高品位の染色や環境対応型ポリマーによる撥水加工などを施し、構造や縫製も生地に合わせて見直すことで、ついに イージージャケットイージートラウザー、ミリタリーカーゴパンツという3型の商品化に漕ぎ着けたのです。

薄くて軽いうえにタテヨコ方向への伸縮性があり、かすかなシボ感により汗ばんでいても肌離れがよく心地よいドライなタッチが味わえるという「テックスナイロン」。今回私たちは、そんな「テックスナイロン」を開発、製造するカジグループの自社工場を訪問。開発責任者である沖野大志さんを直撃し、カジグループの製品が支持される理由や「テックスナイロン」の誕生秘話などについてお話を伺いました。

ラグジュアリーブランドがラブコールを送る、カジグループとは

「日本の繊維を元気にする」───そんなストレートなコーポレートメッセージに掲げるカジグループは、合成繊維の世界的産地である石川県において、繊維機械の製造、糸加工、織物やニット生地の生産、自社オリジナルブランド販売までを一貫体制で行う、“繊維のスペシャリスト集団”です。繊維機械そのものを製造する梶製作所、世界の原糸を料理し優れた機能素材を生み出すカジナイロン、そして数多の高級ブランドからオファーが絶えない世界でも指折りのテキスタイルメーカーのカジレーネなど、グループ各社が密接に連携し生産を行うことで、糸や生地、最終製品に唯一無二の付加価値を付与しているのです。

カジグループが生み出す“付加価値”とは、同じ糸原料でも製造や加工の方法、緻密な機械の設定、織りや編みの工夫などによって、多種多様な触感や風合いを表現し、伸縮性や速乾性といったおなじみの機能から、あっと驚く新機能までも思いのままに実現してくれることにほかなりません。その高度な技術に裏打ちされた総合的創造力は、まさしく唯一無二。元来高級とされるレザーや希少な天然繊維だけでなく、合成繊維にも最高級の質感や高い機能性を求めるラグジュアリーブランドから、熱烈な支持を得ているのも当然といえるでしょう。

そんなカジグループのテキスタイル開発部で辣腕を振るう沖野大志さんは、国内外のメーカー、ブランドからの要望に応えて毎年600〜650もの新素材を企画。1年にならせば、ほぼ毎日2点程度の試作を行っている計算になります。

「顧客から『こんな生地を作れませんか?』というご依頼をいただいたら、その生地のためにどんな糸が必要なのかをイメージし、どんな原料をどんな密度でつくればいいのかという設計を行います。それをパイロット機と呼ばれる小ロット生産が可能な機械で試作し、合格したものを本機を使って量産する。糸ができたら織りや編みを行う自社の別工場に送る、というのが基本的な作業工程になります。機械製作から糸設計、糸撚り、経糸準備、織りにいたるまでを一気通貫して自社で行えるのが、他社にはない私たちの強みだと思います」

このような自社一貫生産はものづくりの自由度や柔軟性を上げ、コストダウンを図ることができるのはもちろん、重要なノウハウを“ブラックボックス化”することで社外への流出を防ぎ、製品の独創性と価値を高めることにもつながっているといいます。

「テックスナイロン」が選ばれた理由

カジグループが手掛けるテキスタイルブランドの「KAJIF」は、その特性や質感によって分けられた7つのカテゴリーを展開しています。そんななかで、ポリウレタン弾性糸と、それに組み合わせる最適な原糸・加工糸を追求して生まれる「STRETCH PLEASURE」シリーズの製品として、顧客からの要望ではなく自発的に開発されたのが、今回のコレクションで採用された「テックスナイロン」なのだそう。

「まず『テックスナイロン』は、経糸にも緯糸にも仮撚加工※されたカバーリング糸※を使っています。だからタテ方向にもヨコ方向にも、しっかり伸縮してくれる。糸って1本に見えても実は、フィラメントという繊維が束になって撚られた集合体なのですが、『テックスナイロン』の経糸にはローカウントの20デニール(フィラメント数の少ない、太さ20デーニルの糸)、緯糸にはハイカウントの50デニールという、まったく異なる特性をもつ糸を使っているんです。この絶妙な組み合わせによって、十分な伸縮性と確かな保型性、ドライでしなやかな肌触りに仕上げることができました」

経糸と緯糸に異なる糸を用いることは、当然のことながら生産効率が悪くコストも掛かり、より高度な技術とノウハウが求められます。そして完璧なバランスを見出すための試行錯誤、要する手間や時間まで考えれば、「テックスナイロン」が容易に模倣することのできない、カジグループならではの製品であることがわかります。

※仮撚加工 撚りをかけた状態で加熱・冷却してから撚りを戻し、ふんわりとした風合いや嵩高性、弾力性、伸縮性を生み出す加工 ※カバーリング糸 芯糸(ポリウレタン弾性糸など)を延伸したところに、鞘糸(ナイロン糸等)をS方向とZ方向に二重に巻きつけた糸 ※デニール 糸の繊度(太さ)を表す単位。9,000mの糸が1gの場合に1デニールとされ、数値が大きければ大きいほど太い糸となる

織りあがったデニム生地が並ぶ様子
織りあがったデニム生地が並ぶ様子
織りあがったデニム生地が並ぶ様子

「テックスナイロン」の肌触りや高い機能性を実現するために追求された工夫は、糸の選定や組み合わせだけにとどまりません。

「生地をよく見ていただくと、かすかなシボのような立体的な表情があるのがわかると思います。このシボ感は糸を整経※する段階でフラットにしてしまうこともできるんですが、あえて残すという選択をしているのがポイント。これが抜群の肌離れの良さや、リッチな風合いにつながっているんです」

伸縮性の高いポリウレタンベースのカバーリング糸は、熱を加えると縮みやすい。そこで生まれるシボ感を、どの程度残せば美しいテクスチャーのまま最高の肌触りと風合いへと仕上げることができるのか───そのバランスを見出すのは、熟練した職人である沖野さんにとっても非常に難しい作業だったといいます。

※整経 経糸を本数、長さ、幅などの織物設計に従って均一の張力で巻き取り、織機にセットできる状態にすること

織りあがったデニム生地が並ぶ様子

「もちろん織り上げてからの加工によっても、生地にさまざまな機能を付与し、質感を高めることは可能です。でも私たちは糸と生地づくりのスペシャリスト集団として、できるだけ後加工に頼らない製品を目指している。常に、もっと何かできることはないかと考えながら、いろんなチャレンジをしています」

そんな沖野さんが最も手応えを感じ、ストレッチ素材の最高到達点とまで考えているという「テックスナイロン」。現時点で、これ以上に+CLOTHETの春夏セットアップにふさわしい生地はほかにないといえそうです。

「熟考に熟考を重ね、何度も試行錯誤を繰り返した末に、ついに目指していた場所に着地することができました。これはもう、ストレッチ系テキスタイルの完成形のひとつといっても過言ではない───そう、私は考えています」

織りあがったデニム生地が並ぶ様子
織りあがったデニム生地が並ぶ様子
織りあがったデニム生地が並ぶ様子

そんな最高のストレッチ素材を採用することは、つくり手にとって決してメリットばかりではありません。ポリウレタンやナイロンを使用した生地は色が入りづらいという特徴があるので、風合いを損ねることなく、しっかりと染色するには、高度な技術と特別な設備をもつ新潟の工場の力がどうしても必要でした。

またストレッチ素材はただでさえ縫製が難しいのですが、極薄の「テックスナイロン」ともなれば、その難易度の高さは言わずもがな。さらに軽やかさと清涼感を追求するため、背抜き仕立てを選択。テーラードとしての美しいフォルムを表現するのに数年を要するほどの困難を極めたのです。

これら生産におけるさまざまなデメリットを、妥協なきこだわりと優れた職人技術や創意工夫によって解消した本コレクションは、お客様にとってメリットばかりの、革新的で素晴らしい製品となりました。ベーシックな2ツボタンのイージージャケット、ウエストアジャスター付きのトラウザーズ、そしてミリタリーカーゴパンツという3モデルの展開により、それぞれの単品使いから気分やシーンに合わせたセットアップスタイルまで、さらっとライトに心地よくお楽しみいただけます。商品がお届けできるようになるまで、いましばらくお待ち下さい。

織りあがったデニム生地が並ぶ様子

ジャケット&パンツ トライアルキャンペーン対象商品

2月1日(土)8:00 〜 2月3日(月)23:59 の3日間限定で、対象のジャケット・パンツをセットアップでご購入のお客様に、返品・交換時の送料が無料となるキャンペーンを開催します。

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