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スビンプラチナムの生産を担う和歌山のニッターさんに、実現困難とされたスビンプラチナムパイルを生み出したその誕生秘話をお聞きしました。
導入したのは約4年前です。当時カットソー生地についてハイゲージ化の要望が増えてきたタイミングで、通常は28ゲージクラスの編み機を使用していました。その中で世の中にまだ出てきていない新しい編み機に投資しようと考え、32ゲージの編み機導入を決めました。
※ゲージ・・・編み機の1インチ(2.54cm)中の針の本数。針本数に比例して高密度に編み立てることが出来ます。反面、針への負担も大きく、職人さんのノウハウ、メンテナンスが必要になります。
通常の編み機に比べてループの配列を非常にコンパクトにキレイに編むことが出来、ベロアのような美しい毛並みが生産出来るという特徴があります。また生地の裏側も同様にきれいに整列した表情で編むことが出来る点もポイントです。そして32ゲージ編み機最大のメリットで、かつスビンプラチナムと最もマッチした点は薄くてもしっかりとした密度の生地が生産出来るというところです。通常の編み機で細く柔らかい糸を編むと、透けの問題、強度の問題が発生しますが、32ゲージで編むことにより、薄くてもしっかりとした生地の生産を実現出来ました。
パイル編み機で生地の裏面も整列していることから肌触りも良く、肌着や赤ちゃん向けの生地などをメインで生産していました。
通常パイルは裏側にポリエステルなど使って生産することがほとんどです。その方が生地が安定するため生産性が高く、1日当たりの水揚げも大きくなるからです。クロスクローゼットさんから裏側も綿100%で、しかもスビンプラチナムを100%使用して生産して欲しいとリクエストを受けた時は、正直実現可能か非常に不安でした。現場での試行錯誤のすえ、生産速度を落としてゆっくりと編むことで、ようやく満足してもらえる生地が出来上がったと思っています。
本当に妥協しないモノづくりを消費者の方々へ届けるというブランドさんの想いが無ければ、ふつうは高級で且つ希少原料であるスビンプラチナムを表・裏共に使って編み立てるといった発想は思い浮かびませんでした。 今回のパイルのクオリティに触れて改めてそういった想いの大切さを感じ、またこれを着ていただく方に感動して驚いて欲しい、もっと新たなアイデアで驚かせたいという気持ちがメーカーとして芽生えてきました。今後も一緒に工夫し新たな価値を築いていきたいと思います。
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