「IGARASHI TROUSERS」の五十嵐 徹氏に訊いた、トラウザーと裾丈の理想的な関係

美しいシルエットを、活かすも殺すも丈次第───短すぎれば子供っぽく、長すぎればだらしなく、裾丈によって大きく印象が変わってしまうトラウザー。オンラインショッピングでも決して失敗しないパンツ丈の“最適解”を求めて、+CLOTHETのパンツ監修を数多く手掛けてきた「IGARASHI TROUSERS」の代表・五十嵐 徹氏に話を訊きました。

裾口が太ければ股下は長め、細ければ短めがカッコいい

長く感じればロールアップしてしまえばOK!というカジュアルパンツと違い、適正な長さでなければ残念な見た目になってしまうトラウザー。自分の股下サイズを把握していながらも、なぜか裾上げが思い通りに仕上がらないという方も多いはずです。そこでビスポークテーラー「IGARASHI TROUSERS」代表にして、+CLOTHETのパンツを監修してきた実績をもつ職人、五十嵐 徹氏を訪ねました。トラウザーのプロ中のプロの意見を参考に、ぜひとも美しいパンツにふさわしい裾丈の“最適解”を手に入れてみてください。

五十嵐 徹氏は人気セレクトショップで販売員、テーラーとして勤務後、2014年に一念発起しトラウザー専門のビスポークハウス「IGARASHI TROUSERS」を創業。現在も本社のある山梨県甲府市とオーダーサロンのある東京・赤坂を往来し、若き精鋭技術者たちとともに年間3,000本以上ものトラウザーを仕立てるマエストロです。

「私たちが勝負しているオーダーメイドの世界、あるいは1本10万円クラスのトラウザーを扱うような業態でいうと、いまは太めのシルエットがトレンドになっています。そして基本的に太いパンツの場合は、しっかりクッション(靴の甲に掛かったパンツ裾の溜まりの部分のこと)が入るワンクッション(クッションに1回折り目が入るくらいの長さ)というのが、スタンダードになっていますね」

トラウザーの専門家として年間3,000本以上のオーダーを請け負う「IGARASHI TROUSERS」代表の五十嵐 徹氏は、開口一番、トラウザー業界のトレンドについて明かしてくれました。そして一過性のトレンドに左右されない、トラウザーと裾丈との普遍的な関係性、“方程式”についても次のように語ります。

「トラウザーというのは、裾丈が長いほうが重厚でフォーマル、短いほうが軽快でカジュアルに見えます。そして裾口が太ければ股下は長め、細ければ短めがカッコいい。ただそれもシルエットや合わせるシューズ次第で変化するので、まずはどんなシーンに、どんなシューズを合わせて履くかを決める必要があります」

ファッションは自分の好みや主義主張を表現できるものですが、特にビジネスシーンなどは相手への敬意が必要であり、わきまえるべきTPOというものがあります。

「やや長めでクッションありの方が、どんな世代やシーンでも違和感をもたれることがないと思います。そして、テーラリングなどクラシックなファッション業界でいまだに受け継がれているルールにも即している。だから私は、『いつでもハーフクッションぐらい入れておいた方がいい』と考えています」

+CLOTHETのパンツコレクションを前に、最適な裾丈について説明してくれた五十嵐氏。普遍的なテーパードシルエットは、「ハーフクッション」で仕上げるのが鉄板です。

太いトラウザーがトレンドだといっても、グローバルなスタンダードはあくまで細身&やや細身のテーパードシルエット。ゆえに+CLOTHETのパンツのほとんどがテーパードだというのも、理にかなっています。そして普遍的なテーパードシルエットで裾幅は細めの17〜19cmくらいとくれば、最適な裾丈というのも自ずと答えが見えてきます。

「+CLOTHETのトラウザーには、上品に革靴を合わせるならハーフクッション(裾がギリギリ靴の甲に掛かるくらいの長さ)、スポーティーにスニーカーを合わせるならハーフあるいはノークッション(裾の溜まりがない長さ)が理想的。つまり、『ハーフクッションにしておけば間違いなし』というのが、私の結論になります」

正しい“ハーフクッション”を手に入れるには

一体どうやってそのハーフクッションを手に入れるのか、そして実際にどう見えるのが正しいハーフクッションなのか───合わせる靴によって、トラウザーの裾がどんな見え方の変化をするのかについて、具体的に教えていただきました。

レザーローファー × 裾幅19cm  (Tropical Two Pleats Trousers)

「これが裾口の幅が19cmの+CLOTHETトラウザーに合わせて、レザーローファーを合わせたベストなハーフクッションの見え方です。パンツ裾の下端が外側のくるぶしの骨のちょうど真ん中まで来ていることが分かるかと思います」

レザーローファー × 裾幅17cm  (Tropical Easy Trousers)

「裾幅17cmのトラウザーの場合、クッションの分量がやや増えてワンクッションに。同じ靴、同じ股下にも関わらず、裾幅の違いだけでややカジュアルな印象に。そこで丈 を0.5cm短くすることで、さらにすっきりシャープに仕上げることをおすすめします」

チャッカーブーツ × 裾幅19cm  (Tropical Two Pleats Trousers)

「裾幅19cmにチャッカーブーツを合わせれば、ほどよいワンクッションに。靴の履き口が足首まであるブーツの場合、ローファーと同じパンツを合わせてもクッションが増える。これが、最適なパンツ丈を考える際にシューズを無視できない大きな理由です」

チャッカーブーツ × 裾幅17cm  (Tropical Easy Trousers)

「裾幅17cmにチャッカーブーツを合わせると、より多くのクッションが入ります。細身のパンツをブーツに合わせて穿きたいなら、通常よりも1cm程度短く裾上げするのがいいですね」

ハイテクスニーカー × 裾幅19cm  (Tropical Two Pleats Trousers)

「昨今人気の高い、ボリューミーなハイテクスニーカーに裾幅19cmのパンツを合わせました。バランスのいいエレガントなワンクッションが入っています」

ハイテクスニーカー × 裾幅17cm  (Tropical Easy Trousers)

「裾幅17cmのトラウザーと甲高のハイテクスニーカーを組み合わせると、より深いクッションが入ります。好みにもよりますが、ハイテクスニーカーには裾幅広め、あるいは少し短めのトラウザーの方が相性が良いと思います」

「このようにトラウザーのベストな股下寸法というのは、裾口幅や合わせる靴によって大きく変わってしまうんです。裾幅が2cm広がれば、股下は0.5〜1cm 長くすべきと考えていただいていいと思います」と語る、五十嵐氏。またフィッティングしたトラウザーはすべてダブル仕上げでしたが、シングルにするか、ダブルにするかにも明確な基準があるのだとか。

「テーパードのトラウザーの場合、革靴ならダブル、スニーカーならシングルが基本です 。どちらがよりフォーマルかといえばシングルの方なのですが、昨今のボリューミーなスニーカーには、シングルの方がバランスがいい。ボリュームがあるものにボリュームがあるダブルを合わせてしまうと、重たい印象になってしまうんです」

逆に革靴にシングルではすっきり軽く見え過ぎてしまうので、ローファーでもオックスフォードでも、ダブルを合わせるのがよいそうです。

正しい採寸の仕方から、とっておきの“裏技”まで

“ハーフクッション”がどんなものかお分かりいただけたところで、次に気になるのは採寸の方法です。自身にピッタリなハーフクッションを手に入れるために、どこをどのように測ればいいのか───新しいトラウザーを購入するとき、あるいは手持ちのトラウザーをお直しに出したいとき、失敗しない正しい採寸の方法も教えていただきました。

「股下を自分で指定して購入するというのは、結構難易度の高いこと。でも+CLOTHETのトラウザーを購入するくらい意識の高い方であれば、ジャストな裾丈の重要性を理解されているはず。ジャストを目指すための、正しい採寸方法はマスターしておいていただきたいところです」

五十嵐氏によれば、ジャストな丈感の新しいトラウザーを手に入れる最も再現性の高い方法は、気に入っている手持ちのトラウザーの裾幅と股下、そして総丈(ウエストベルトの上端から裾までの直線距離)を踏襲すること 。裾幅がほぼ同じであれば、同じ股下に設定すれば間違いがないというわけです。

「まず用意するのは、丈感の気に入っているお気に入りのトラウザーとメジャーです。平らな場所にトラウザーを置き、又下中央の十字の部分を起点として縫い目に沿って真っ直ぐ裾までの長さを計測します。裾幅も忘れずに測っておいてください。しつこいようですが、裾幅次第で股下の寸法は変わってしまいますので」

「平らな場所にトラウザーを置き、又十字の部分を起点として縫い目に沿って真っ直ぐ裾までの長さを計測します」
縫い目はほぼ直線なので、計測は決して難しくないはず。メジャーがなければ定規を代用することも可能です。
写真では穿いた状態で採寸していますが、股下同様に机の上などフラットな場所で計測するのが基本です。

こうして計測したデータを保管しておけば、実店舗でもオンラインでも、ジャストな丈のトラウザーが購入できるはずです。それでも慣れないうちは、失敗のできない思い切った丈詰めに勇気がいることでしょう。そこで誰でも安心してチャレンジできる、とっておきの”裏技”も教えていただきました。

「購入するお店でも、街のお直し屋さんでもいいのですが、『ハーフクッションで』とお願いすることですね(笑)。そうすればプロの方がちゃんと採寸して裾幅に併せた“ハーフクッション”に仕上げてくれます。こうして自分のその基準となるデータを採ることができれば、次回以降のオーダーはかなり容易になると思います」

さらに、お直し担当者と“ハーフクッション”の認識を共有するために最も有効なのが、画像で見せること。不安なときにはぜひこの記事の写真を見せて、間違いのないお直しを行いましょう。


 +   LINEお友だち登録の方に 10%OFFクーポン 発行中!

ブランドのニュースやお得な情報などをお届けします。是非友だち追加をしてみてください。

【友だち追加方法】

スマートフォンをご使用の方

下記ボタンをクリックして登録

友だち追加

PC・タブレットをご使用の方

1. >>QRコードを表示してLINEの友だちを追加

2. ID検索で登録

LINEアプリの「ホーム」や「トーク」などの検索ボックスに、ID:@crossclothetを入力して検索してください。
IDは、@crossclothetのように、@も忘れずに入れてください。

※10%OFFクーポンはお一人様1回限りご利用可能です。
※他のクーポンとの併用はできませんのでご了承ください。

 +   ご返品・ご交換は商品到着から8日以内であれば承ります

お届けした商品の色、大きさ、サイズ、形、素材感がイメージと違う場合、商品到着から8日以内の商品であれば、ご返品・ご交換を承ります。


おすすめ記事

【解説】新登場 GIZA45 Dress T-shirt

待望のGIZA45 Dress T-shirtがついに登場です。お客様の声を元にブラッシュアップし遂に4/5(土)に販売を開始いたします。生地やデザインの特長を詳しく解説します。

色落ちせず膝抜けしにくい、リアクティブデニムのメンズセットアップ

軽やかに楽しむ春のデニムスタイル:リアクティブデニムセットアップ

春の暖かな陽射しに映え、心も軽やかにしてくれるリアクティブデニムセットアップのコーディネートをご紹介します。

テックウールトロピカルセットアップを着用した日本人モデル画像

エレガンスを纏う春夏スタイル:テックウール®トロピカルセットアップ特集

ウールの上質な質感が、春夏のスタイルを一層引き立てる、テックウール®トロピカルセットアップのコーディネートをご紹介します。