My T-shirts, My Life
-Tシャツのある日常- vol.13
Tシャツには不思議な魅力があります。シンプル極まりないけれど、Tシャツにかける愛情やこだわりは人それぞれ。連載「Tシャツのある日常」では、さまざまな分野の第一線で活躍する人たちのライフスタイルを通して、Tシャツにまつわるエピソードや仕事への思いを聞いていきます。

有り余る”好き”を、大人気ビジネスに昇華させる起業家
株式会社アネアデザイン 代表・横町 健|No.13
2008年のオープンからまもなく大人気となり、現在は都内に7店舗を構えるドッグカフェ「anea cafe」。そして個性的かつ迫力たっぷりなビジュアルで、観葉植物ファンのみならず高感度なインテリア好きまで魅了する塊根植物専門店「BOTANIZE」。ブームと呼べるほど多くの支持を集める両ブランドを手掛けるアネアデザイン代表・横町 健さんは、自らの“好き”をより多くの人と分かち合うためにビジネスとして展開し、大成功を収めてきた異色の起業家です。情熱の赴くまま猪突猛進しているかに思える横町さんの、隠れたニーズやトレンドを敏感に捉える感性、今後のビジョン、そしてあまり知られていない地道な努力や綿密な準備などについて伺うべく、「anea cafe白金」を訪ねました。

スタイリッシュな空間、フレンドリーで気の利いたサービス、そして昼夜を問わず愉しめる美味しいドリンクとフード───さまざまなワーク&ライフスタイルの人々にフィットするカフェという業態が、多くの支持を集めるのは時代の必然といえるかもしれません。しかしこの「anea cafe」は、そんなカフェの魅力を他の客やお店に一切気兼ねすることなく、愛犬とともに堪能できる大人気店。ドッグカフェはあまり美味しくないし、オシャレじゃない。そんな固定観念を覆したことで、2008年に東京・参宮橋で誕生して以来、どの店舗でもたくさんのファンを惹きつけてきました。
そんな「anea cafe」を展開する株式会社アネアデザイン代表の横町 健さんを「anea cafe 白金」に訪ねると、ランチタイムはとうに過ぎている時間帯にも関わらず店内の席はほとんど埋め尽くされていました。
「じゃあ先に『BOTANIZE』で撮影しちゃいましょうか」
そういう横町さんに導かれ、カフェと同じビルの上階に店を構える、「BOTANIZE shirokane」にお邪魔することに。店内は、話題の塊根植物やモノトーンを中心としたモダンな鉢植えなどが整然と並ぶ無機質な空間。広々としたテラスでは植物たちが日光浴を満喫し、階段を登った屋上にはさらに大量の“珍奇”な植物たちが育成中の、温室まで完備していました。
ドッグカフェと植物。一見するとなんの脈絡もない両者を一大ブームにまで牽引した横町さん。しかしそこには、「自分の“大好き”を他の人ともシェアしたい」という、最も根源的な共通のモチベーションがあったのです。

「僕が最初にアネアデザインという会社を起こしたのは、いまから約17年前。当時は愛犬と一緒に入れるカフェというと、まだ全然オシャレじゃないイケてないお店ばかりだったので、料理も美味しくて、内装も接客サービスもしっかりしているというお店を作りたいなと思ったのが……、そこから10年遡るので、もう27年前のことですね(笑)」
当時、専門学校に通いながら居酒屋の副店長として働き、有言実行で店の売上を倍増させた実績があるという横町さん。自分のアイデアとサービスを徹底すれば、お客さんに喜んでもらえるうえに利益も増える───実践によってそんな確信を得た横町さんは、就職して人に使われるのではなく、起業して自分自身がリーダーとなることを決意しました。
「それが22歳の頃。当時から僕は犬を飼っていて、カフェも大好きでした。だから自然と、愛犬といっしょに入れるオシャレなカフェを作りたいと考えるようになったんです」
とはいえ、資金もなければ資格もなかった横町さんは、カフェ飯をマスターするためにまず、イタリアンと日本料理のレストランでの修行を開始。昼はコック服、夜は作務衣を身にまとい、およそ5年間昼と夜のハードなダブルワークを続けたそうです。
「それが終わっていよいよカフェの運営を学ぼうと考え、恵比寿の『DexeeDiner』というお店で働くことに。同時に、自分の店は全部自分で設計とデザインをしたいと思っていたので、レストランで貯めたお金で設計の専門学校に通うことにしました。2年でカフェと専門学校を卒業し、最後は飲食専門のコンサルタント会社に入社。そこで3年間、設計やデザインの仕事に携わりながら、人材育成や店舗の運営方法について学びました。その会社にはさまざまなクライアントさんが来るので、どんな人が成功し、どんな人が失敗するのか、人を見る目も養うことができたんです」
「愛犬といっしょに入れるオシャレなカフェを作りたい」と考え始めてから足掛け10年、ついに横町さんは“10年構想”の準備を完遂し、起業。代々木公園にほど近い参宮橋に理想的な物件を見つけ、念願のドッグカフェ「anea cafe」をオープンしました。



その後の「anea cafe」の人気ぶりを見れば、飛ぶ鳥を落とす勢いとはまさにこのこと。時流を巧みに掴み、目敏さとセンスのみで成功を収めたと考える向きも多かった横町さんのイメージは、この“10年構想”について知ることで大きく変わるのではないでしょうか。
「絶対に失敗したくなかったんですよ。石橋を叩いて叩いて、叩き過ぎて割ってしまうぐらいの心配性なので(笑)。考えてないふりをして、実はいろいろ考えながらやっている。でもそういう神経質で慎重なところは、できるだけ人に見せたくないんです。恥ずかしくなっちゃいますからね」
そんな横町さんがカフェ事業に続いて2016年にローンチしたのが、この「BOTANIZE」という塊根植物専門ショップです。

「これも完全に僕の趣味である植物集めから始まっていて、こんな面白い植物をもっといろんな人に知ってほしいという想いで立ち上げました。どうやって広めていこうか考えていたとき、いま植物好きな人たちにアプローチしても伸び代はないし、業界的にも天井見えているよな、と。なのでまったく知らない人、特に感度の高い人に知ってもらうために、セレクトショップやインテリアショップなどと組んでひたすらポップアップをやらせていただいて……。アパレルブランドともコラボして、ということを地道に続けていくうち、ジリジリジリジリ、そしてガツンと伸びたというわけです」


ドッグカフェにも塊根植物専門店にも共通して言えるのは、どちらも横町さんの趣味や度を超えた“好き”がスタート地点となっていること。
「自分が本当に好きで、コレがいいと思ったものを勧めることほど、説得力のあることってないですよね。最初は儲かるかどうかなんてなんてまったく頭にないし、ビジネスチャンスがあるからと、好きでもないものに手を出すことはありません」
株式会社アネアデザインとは、「anea cafe」を設計するためにつくった会社なのだとか。そこでその設計部門は、当初の目的であった「anea cafe」の設計、オープンを実現し、ほぼ時を同じくして閉鎖。「ウチも手掛けてほしい」という声が絶えない引く手あまたの状態であったにも関わらず、スパッと潔よく辞めてしまったというから驚きです。

好きなものを一切の妥協なく追求し、自分一人で愉しむのではなく多くの人と共有したい───そんな横町さんの流儀は、普段の生活にも徹底されています。
「僕のクローゼットは、黒、白、グレーとネイビーだけ。ほんの少しカーキがあって、僕にとっての差し色がカーキといえるくらいです。でも大抵は今日のように全身真っ黒で、365日履いているスニーカーも、トリプルブラックを選びました。無地の黒で揃えると、とにかくラク。悩むとしたら、シルエットやちょっとした着丈の差くらいで済みますしね(笑)」
ソリッドでシンプルなデザインが好みで、カラーパレットを黒、白、グレーにほぼ限定しているのは、ファッション、クルマ、「anea cafe」と「BOTANIZE」の内装やものづくりなど、すべてに共通しているようです。



ボタンを留めることすらストレスで、シャツを着ることはほとんどないという横町さん。この日着用していたスビンプラチナムスムース素材のミドルスウェットシャツは、触れた瞬間からその生地の質感に魅了されたといいます。
袖口のリブ、襟ぐりのニュアンスがちょうど良く、数回洗濯したくらいではまったくヨレないところも気に入っているのだとか。そして大の犬好きである横町さんだからこそ気付いたとも言える、キメ細やかでツルッとしたスビンプラチナムスムース素材だからこそのメリットが、犬の毛が付着しにくい(落としやすい)ところなのだそうです。
「いつでもTシャツの僕にONとOFFの境界線はあってないようなものですが、この上にナイロンやポリエステル系のジャケットを着れば間違いなしでしょう。あといま飼っているのがボルゾイという毛の抜けやすい品種なので、犬の毛が目立つ服は着づらいというのは正直あります。その点、このロンTは毛が付きにくいみたいで、2、3本付いていた毛もパッと手で払えば簡単に落ちるくらい取りやすかった。そういうところも使い勝手がいいと感じます」

横町さんが次に“好き”になるものが何なのか、これからもその動向から目を離すことはできそうにありません。そこで素直にそんな質問をぶつけると、子どもの頃から夢中になって収集し、昨今のアートブームと結びついて高い付加価値を得ているフィギュアなど、現在進行形のプロジェクトについても惜しげなく明かしてくれたのです。
「タイのバンコクに僕が出資しているアートギャラリーがあって、現地でもソフビやフィギュアがアートとして高い評価を得ているんです。水面下で、いろんな方々とコラボしたおもちゃやアート作品を発売する準備をしていますね。あとは山梨にサウナやキャンプをして遊べる複合施設を建設する計画が進んでいますし、『anea』ブランドのペット保険も発売間近。『anea cafe』のお客さんに、大切な“家族”の万が一に備えられる最高の保険を提供したいと思って準備してきました。あくまでウチは窓口で保険を提供するのは専門業者さんなのですが、業界でも指折りの会社をパートナーに選び、ベストのプランを考えたつもりです。これは今後の引退を見据えて、初めてビジネス先行で取り組もうと思ったプロジェクトなのですが……、まったくといっていいほど妥協できませんでしたね。やっぱり犬が大好きなので(笑)」
経営やビジネスを追求しようとスタートしても、どうしても“好き”が勝ってしまう。横町さんの生き方は、これからもそう簡単に変わることはなさそうです。

横町 健
1973年生まれ、東京都出身。 2008年に株式会社anea designを設立し、ドッグカフェ「anea cafe」(参宮橋)をオープン。白金、中野新橋、豊洲など都内に現7店舗を展開する。2016年、塊根植物と鉢植えなどを扱う「BOTANIZE」(代官山)をオープン、世に塊根植物ブームを巻き起こした。24年には大人の遊び心を詰め込んだカスタムカーブランド「LÜDIX(ルゥディクス)」をローンチ。現在は山梨・大月市郊外にある700坪の土地に、サウナやキャンプなどアウトドアライフを楽しめる複合施設を建設中。
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Photos: Tohru Yuasa
約150年、生地の企画・製造・販売に携わってきた私たちだからこそ、自分たちが認めた生地を直接消費者に届け、その価値を知ってもらうことを第一に考えて開発したこだわりの商品です。
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約150年以上続く生地サプライヤーであるからこそ成し得ることができる、国内外からの原料調達から生地開発、製造と洋服が作られるすべての工程を一貫で行っています。そのため、クオリティ、価格において「商品の最適化」の実現を目指しています。


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