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My T-shirts, My Life
-Tシャツのある日常- vol.18

Tシャツには不思議な魅力があります。シンプル極まりないけれど、Tシャツにかける愛情やこだわりは人それぞれ。連載「Tシャツのある日常」では、さまざまな分野の第一線で活躍する人たちのライフスタイルを通して、Tシャツにまつわるエピソードや仕事への思いを聞いていきます。

創造性と職人気質を兼ね備えるフラワーアーティスト
株式会社 KADAN代表・草竹賢|No.18

革新的なフラワーショップ「ALL GOOD FLOWERS」を媒介に、花を単なる植物ではなく生活を彩るアートやギフトのひとつとして捉え、その新たな価値を創造し続けるフラワーアーティスト、草竹賢(まさる)さん。かつては真剣にファッションスタイリストを志していたという草竹さんは、そのユニークなキャリアによって培われた独自の感性とこだわりを、現在の仕事で最大限に活かしているように見えます。

東京・青山という都会のど真ん中にありながら、豊富な緑と長閑かつ洒脱な空気に包まれた話題のスポット「SHARE GREEN MINAMI AOYAMA」。その“顔”的役割を担っている「ALL GOOD FLOWERS AOYAMA」に草竹さんを訪ね、ファッション業界からフラワーアーティストに転身した理由、花と向き合う姿勢やこれからの目標などについて、お話を伺いました。

「大阪で過ごした少年時代、サッカーに熱中していましたが、勉強もできる子どもでしたね(笑)」

自らの生い立ちや少年時代について、関西人らしく冗談交じりに教えてくれた草竹 賢さんは、おしゃれな花屋として大人気の「ALL FLOWER GOOD FLOWRS」を展開する、株式会社KADANの代表。経営者でありながら、通常はその旗艦店である「ALL FLOWER GOOD FLOWRS AOYAMA」の店頭に立ち、自ら接客やフラワーアレンジメントを手掛ける忙しい日々を送っています。

そんな草竹さんが最初に志した職業は、なんとファッションスタイリスト。それも大学進学時に将来の目標が見当たらなかったがゆえの選択だったといいます。

「10代後半のころ、ファッション業界では雑誌などを通じてスタイリストという本来裏方の職業人が、表舞台に出て脚光を浴びはじめた時代でした。ファッションに興味があった僕も憧れを抱くようになり、大学在学中からわざわざ東京に遠征してプロのスタイリストの手伝いをしていたんです」

京都の有名私大に在籍し続けながらも、4年生のころには1年のほとんどを東京で過ごし、スタイリスト見習いをしていたという草竹さん。だが当時のファッション業界は厳しく、「勉強させてもらえるのだから」と、給料なしなど当たり前。そんな環境でも構わないと覚悟を決めていた草竹さんは、“移住”前にアルバイトで必死に貯めた200万円を元手に上京。「貯金がなくなったらアルバイトをさせてほしい」という約束で働き出したものの、いざ貯金が尽きると「もう来なくていい」と一方的にクビを切られてしまったのだとか。

いつしか夢となっていたスタイリストへの道も、泣く泣く諦めることになってしまった草竹さんは、映画の衣装制作などを請け負っている会社に就職。だがここでも、月給はわずか8万円。実家からの仕送りがなければ、継続することができない厳しい生活でした。

「その会社で2〜3年ほど働いた頃、父が亡くなりました。母からは『何をしているのか。先が見えない仕事ではないのか』と責められましたね。そこで一旦実家に戻り、『この仕事はあと何年経ったら、何がどのように実るのだろう』と真剣に考えるようになりました。実家では、何もすることがない毎日。そんなある日、幼稚園のころに書いた自分の将来の夢が、「花屋になること」であったことを母の言葉で知ったんです」

「試しに(花屋を)やってみたらどうか」という母親の勧めもあり、大阪周辺でおしゃれな花屋を探し、働くことを決意したという草竹さん。ついにフラワーアーティストとしての草竹さんのキャリアが、本格的にスタートすることとなりました。

「正直に言って、大人になってから『花が好き』という自覚はありませんでした。でも思い返せば小学校のとき、母の日にバラを贈って喜んでもらえたことが、とても嬉しかったという記憶だけは、強く残っていたんです。人は花をもらうとこんなに喜んでくれるのか、プレゼントをして喜んでもらうのは、こんなに嬉しいことなのか───そんな“原体験”があった。だから花屋としてはまだ何もできないけれど、楽しく、元気に接客することはできるので働かせてくださいとお願いし、とある花屋に務めるようになりました。

最初の2年間、ブライダルを担当する部署に配属され、作品づくりにまったく関われなかったという、草竹さん。そこで意を決して社長に直談判し、地味ではあるものの花を売ったり、ブーケをつくったりできるショッピングセンター内の店舗へと異動することに。そこで“花屋の基礎”を身につけ、「自分は才能があるし、とても上手で、お客様も喜んでくれる。ここで学ぶことはもうない」と早合点。わずか1年で退職してしまいます。そんな草竹さんの野心をも理解する社長の好意で、「次に行くべき」関西圏で評判の別の花屋を紹介され、入社。その”天狗の鼻”が軽くへし折られるような、厳しい修行の日々が始まりました。

「自分は天才で、何でもできると思って入社したものの……(笑)。何もできないし、何もしてはいけない立場なのだと思い知らされましたね。その店では24時間働けるように、徒歩か自転車で通勤5分圏内に住むことを求められました。そして入社からおよそ3年間、花にはまったく触らせてもらえず、配達と水やり、下処理だけを黙々とこなす日々。しかし、その間も先輩の作品はすべて写真やスケッチで残し、作り方をすべてメモするようにしていました」

「この店で絶対一番になる」という強い意志をもち続け、8年目にしてようやく2番手のポジションに上り詰めたという草竹さん。給与は入社時の10倍にもなっていて、その成長と実力を、きちんと評価されていたことは明白でした。

花屋としてのキャリアを確立していくなかで、草竹さんはファッション業界で培った感性を見事に活かしています。その活動を支えているのは、「花を単なる花と捉えるのではなく、ギフトやアート、雑貨のひとつとして広げていきたい」という熱い想い。だからこそ憧れのSOLSO FARM代表・齊藤太一さんからの誘いで、しかも青山の一等地で自身の花屋をオープンできるというチャンスが巡ってきたとき、お世話になった会社や社長に申し訳ないという思いがありながらも、独立に迷いはありませんでした。

満を持してオープンした「ALL GOOD FLOWERS」は、従来の花屋とは明らかに異なり、花器や雑貨、アパレルなどをスタイリッシュなプレゼンテーションで販売する、まるでセレクトショップのような新業態。その画期的なスタイルはSNSなどを通じて瞬く間に評判となり、新たにオープンする複合商業施設などから常に声の掛かる、業界屈指の人気店となりました。

自らを「やっぱり天才ではなかったし、芸術家でもない」と評価する草竹さんですが、真摯にファッションを探求し挫折しながらも、花を愛し、技術と心の研鑽を続けた職人気質のクリエーターだからこそたどり着いた境地───それが「ALL GOOD FLOWERS」なのかもしれません。

「僕には見たことのないものを、ゼロから創造する才能はありません。だから見たことのあるもの、例えばおしゃれな洋服のパッケージを、花のプレゼンテーションに転用できないか、といった独自の発想が重要なんです。だからいまでもファッション誌を読んだり、僕がスタイリストを志すきっかけとなった方のあらゆる仕事をチェックしたりして、インプットを増やすように心がけているんです」

「花屋だからといって花ばかりを見ていてはいけない」という、草竹さん。ブティックでは最新のファッションを、美術館では良質なアートを、あるいは優れた建築を体感するなど、あらゆるインプットが独自の表現方法を生み出す源になっているのだとか。そうやって視野をどんどん広げていくことが、最終的にフラワーアーティストという仕事の質を高めることに繋がると考えているのです。

そんな草竹さんの仕事に対する姿勢の根幹には、徹底した品質へのこだわりがあります。なぜなら、素人目には同じように見える花にも確固たる質の差が存在し、花屋の良し悪しはこの「仕入れの質」にこそあると考えているから。バラひとつをとっても、産地や時期によって多様な種類があり、そのなかでも常に良いランクのものを仕入れるようにしているのだとか。

「僕は花の市場におけるA、B、Cという等級を理解しているのはもちろん、生産者ごとに異なる基準や価値観を把握しています。だから、『あの人がつくる花なら、Bランクでも品質は悪くない』という判断が可能になる。さらに一般的には美しいとされている棒のようにまっすぐな花は、まったく自然ではないし花瓶に挿したときに美しくない。あえて少し曲がっていたり、葉っぱに虫食いがある花の方を選んで買うこともありますね」

時、場所、場面によっては、枯れた葉の方がふさわしい美しいときがある───そんな洗練された美意識は、茶道のおもてなしの心や禅の精神にも通じるような気がします。

「私は花屋の経営者ではありますが、大手の社長さんとは違って現場に立ちます。自ら車を運転して仕入れに行きますし、店にも立つ。だから動きやすくて水に濡れても問題のない服装を常に意識しています」

そう語る草竹さんが洋服に求めるもののひとつが、「全身黒か、全身白のどちらか」というカラーリング。ネイビーやブラウンといった色合いの服は、ほとんど持っていないという徹底ぶりです。

「これは仕事上の機能的な理由というよりも、僕自身のファッション的な感覚に基づいています。オンオフ問わず、白か黒のどちらかを選ぶことが多いんですよ。でも、洋服はほとんど買いに行きません。“コレ”と決めたものをまとめて購入し、ダメになったら入れ替えるようにしているんです」

そんな草竹さんにとっても、やはりTシャツは重要なアイテム。選ぶうえで厳格なルールはないものの、とにかく気に入ったものを着続けたいのだといいます。この日選んだスビンプラチナムスムース素材の「Middle Sweatshirt」は、「特に肌触りと形が非常に良く、自身の体型にも合っている」と感じているそう。ミニマルなデザインは無地しか着用しない草竹さんにとって理想的で、「これもまとめて買おうと思ってます」というお気に入りモデルです。

一見すると同じような製品があふれているシンプルな黒Tだからこそ、その品質に徹底的にこだわりたい───そんな花への思いと共鳴する草竹さんの価値観にフィットしたのが、この良質なスビンコットンのなかでもファーストピックという極上素材の黒Tシャツなのです。

着々と店舗を増やし、とどまることを知らない「ALL GOOD FLOWERS」の勢い。ビジネスとしても順風満帆に見えつつも、草竹さんはしっかり地に足を着けて未来を見据えています。特に意識を向けているのが、後進のフラワーアーティストやスタッフのこと。自分だけではなくチームや仲間が成長し、店舗にしっかりとした技術をもったスタッフが立つことが大事だと考えているからです。

「スタッフが『独立して自分でお店をやってみたい』と言い出したときのために、特定の店舗や事業を任せたり、フランチャイズとも違う新しいシステムを構築するなど、チームとしてうまく助け合える方法がないかということは考えています。技術的な面だけでなく、資金面でも助けてあげられたらとも思いますね」

「この業界には、いまだに非常に旧い体質が残っている」という、草竹さん。ただそうした良くない慣習が残っているからこそ、若い世代の人にとっては花をもっと広めていく、大きなチャンスがあるのだ、とも。

「見て、触れて、贈って、さまざまな体験を通して老若男女がそれぞれの花のある暮らしを愉しめる。そんな楽しいお店やスペースを増やしていきたい」

そんな草竹さんの「世界緑花計画」は、まだ道半ばのようです。

草竹 賢​
大阪府生まれ。20代前半にファッション業界でストイックな職人気質とクリエイティブな感性を培ったのち、関西のフラワーショップでフラワーアーティストとしての修行を開始。およそ10年の修行期間を経て、2018年に「ALL GOOD FLOWERS」を開業。20年に「世界緑花計画」を掲げる株式会社KADANを創業する。既存の花屋、フラワーショップという枠を超え、インテリアやファッション、雑貨とのクロスオーバーを図り、花を「買う」「見る」ものから「暮らしに取り込む」ものとする、さまざまな“体験”を提供している。
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Photos: Tohru Yuasa


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