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Tシャツには不思議な魅力があります。シンプル極まりないけれど、Tシャツにかける愛情やこだわりは人それぞれ。連載「Tシャツのある日常」では、さまざまな分野の第一線で活躍する人たちのライフスタイルを通して、Tシャツにまつわるエピソードや仕事への思いを聞いていきます。
“世界の足元に革命を”という理念を掲げ、靴磨きという地味で保守的な業界において新たな価値を創造しようと挑戦し続ける職人集団「Brift H(ブリフトアッシュ)」。その創業者であり代表を務める長谷川裕也さんは、製鉄所勤務からはじまり英会話教材の営業担当、そして世界的なファッションブランドの副店長を務めるといった、非常にユニークな経歴の持ち主です。
2017年にロンドンで開催された世界靴磨き大会で初代チャンピオンに輝き、靴磨きという裏方的な仕事がスポットライトを浴びるきっかけともなった長谷川さん。波乗りやスケートボードを愛する青年がなぜ靴磨きに興味をもち、それを極めるまでに至ったのか。そしてなぜ、どのように靴磨きの“新たな価値”を創造してきたのか───靴磨きという文化の未来までを見据える長谷川さんを東京・青山の「Brift H AOYAMA」に訪ね、お話を伺いました。
長谷川裕也さんが2008年に立ち上げ、瞬く間に靴磨きの常識を覆すこととなった「Brift H AOYAMA」は、世界中の高級シューズブランドが軒を連ねる南青山の骨董通り沿いにありました。
現在は経営者として、ディレクターとしての実務に専念する長谷川さんですが、店頭に立ち、メディアに登場する際のイメージといえば、テーラードスーツをタイドアップでバリッと着こなす、凛としたジェントルマン。レザーシューズはもちろんのこと、クラシカルなファッションにも精通している粋人といった印象が強いはずです。
それもそのはず、小学生の頃からDCブランドブームの洗礼を受け、モードファッション専門のテレビ番組「ファッション通信」に熱中。中学生になるとスケートボードやパンクに熱中し、昼食代の500円玉を握りしめては原宿のDCブランド系ショップに通い詰めるほどの早熟なファッショニスタだったという長谷川さん。ただ意外なことに、社会人としてのキャリアはファッションとはほど遠い製鉄所から始まったのだというから驚きです。
「残りのものの求人情報からなんとなく選んだ」という環境が、海外のファッションやカルチャーに敏感な若者にとって、刺激の乏しい退屈極まるものだったことは想像に難くありません。しかし大きな転機となったのも、そんな職場をともにする先輩との出会いだったというのだから、人生というものは分かりません。
「サーファーでこんがり焼けていて、そんな見た目なのに休憩中はいっつも勉強している。気になって理由を尋ねてみたら、『自分で貿易会社を作りたいから、通信制の大学で経済を学んでいる』っていう……。こんなカッコいい人が同じ工場のなかにいるということが、僕にとってはものすごい衝撃だったんですよ」
その先輩の“生き様”に憧れ、自らも「海外へ行く」と決意した長谷川さんは、その日の夜勤明けに英会話学校の門を叩き、半年後には製鉄所をスピード退職。働きながら英語を学べるという理由から、18歳にして英会話教材を売る完全歩合制の営業マンに転身したのだといいます。
「昔から社長になりたいという願望があったので、自分次第で給料が変わるっていう働き方で火が点いたというか……。いまの時代はダメなんでしょうけど、書店や路上で知らない人に突撃して声かけるっていう無茶な営業スタイルでも、相当鍛えられたと思いますね。おかげで成績はかなり良かったんですが、働き過ぎて体調を崩してしまいました。そんなときに次の仕事が決まるまでの“繋ぎ”としてはじめたのが、靴磨きだったんです」
営業職を辞め、自分のリズムで働ける日雇いアルバイトで食いつないでいた長谷川さん。しかし徐々に仕事の募集が途絶え、ついには明日をも知れぬ状況に追い込まれた20歳の春───“そのとき”がやってきたのだといいます。
「とうとう、全財産が2000円ぐらいになっちゃいまして(笑)。『この2000円で稼げる仕事はなにかないか』と考えました。そこで思いついたのが、なぜか靴磨きだったんですよ」
なけなしの2000円を握りしめ、100円ショップで靴磨き道具を一式揃え、当時大学院生だった友人を誘いサラリーマンの街、丸の内へ 。相場も分からず、見様見真似で靴を磨いた1日で手にしたのは7,000円。偶然にも、日雇いアルバイトの日当と同額でした。確かに同じ金額、しかし、「その価値はまったくの別物だった」と長谷川さんは振り返ります。
「自分のアイデアで稼げたという実感と感動があって、ものすごく嬉しかったんです。元々人と話すのが好きだから、お客さんと会話しながら靴を磨いてお金をもらうというのが、なんだか本当に楽しくて(笑)。これはいい商売だな、と思いましたね」
その後、アパレルブランドのショップスタッフとしての定職を得るものの、毎週水曜日の休日には、引き続き靴磨き職人として路上に座り続ける日々を送った長谷川さん。それは、ただ楽しいからでも、稼げるからではなく、ファッション感度の高い成熟した顧客と接することが、接客の勉強になると考えたからでもあったそうです。
「靴磨きに来る人って、企業のなかでも役職が高めの方が多い。だから、すごく勉強になるお話が聞けるんです。社長になるという夢を実現するためにも、絶対に役に立つはずだという確信がありましたね」
折しも靴磨き業界全体の高齢化により、路上からどんどん職人の姿が消えていく当時の状況に、長谷川さんは大きなビジネスチャンスを見出しました。そして「路上から成り上がる」という反骨精神を胸に、若者が皆無であったその“ブルーオーシャン”に、身を投じることを決意したのです。
靴磨き職人として生きていくことを決めた長谷川さんは、有楽町の伝説的靴磨きであった「千葉スペシャル」こと千葉 尊さんの仕事ぶりを目の当たりにし、その伝統に縛られない独自の技術と圧倒的なスピード感に強い感銘を受けたそうです。そしてその経験こそが、靴磨きの“伝統”への敬意を胸に秘めつつ、自分独自の“革新”の道を歩むという想いへと繋がっていることを明かしてくれました。まだインターネットで「靴磨き」というワードがほとんど検索されていなかった時代に立ち上げたポータルサイト「kutsumigaki.com(サービス終了)」などは、その一例と呼べるものでしょう。
「当時から技術の優れている方はたくさんいました。でも路上の方々は、忙しいビジネスマンのためにスピード感を追求した戦後のクイック磨きが基本です。一方で、クリームを製造している企業の講習会などに行くと、もっとマニアックで革に寄り添ったスロウな提案を行っている。同じ靴磨き業界でありながら、この分断した世界をミックスして融合させるということは、当初から目指していたことですね。路上でお客さんを待っているのではなく、自分から会社や個人宅に出張したり、ブランディングを高めるということにも、意識的に取り組んでいました」
そんな長谷川さんに、次なる大きな転機が訪れたのは、アパレル業界の著名なディレクターから投げかけられた、あまりに率直な一言でした。
「ある初めてのお客さんから、唐突に『カッコ悪いね』って言われてしまったんですよ。靴磨き職人の座り方、作業の仕方のことですよね。地べたで小さくなってやるのではなくて、ネイリストさんのようにテーブルの上で、客と同じ目線でできないのかって」
路上で小さな椅子に座り、客に見下ろされるような姿勢で磨く、靴磨きの“伝統”的スタイル。その当たり前をストレートに「カッコ悪い」と指摘され、長谷川さんはハッとさせられます。「美容師が髪を切るのと同じように、職人と客の目線を逆にした方がいい」───そのアドバイスが長谷川さんの、現在の「Brift H」の基本スタイルであるカウンター式サービス生み出すきっかけとなったのです。
2008年、法改正によって路上での営業が困難になったことを契機に、世界初のカウンター式靴磨き専門店「Brift H AOYAMA」は誕生しました。そこで長谷川さんが目指したのは、「靴磨きをファッションにする」こと。その信念こそ、長谷川さんを丸の内や品川といったビジネス街の路上から、ファッションの中心地である青山のサロンへと向かわせた、最大の原動力だったのです。
靴磨き職人の地位を向上し、自身や会社のブランディングを確立するために取り入れるファッションマインド。そして生来のファッションに対する情熱は、この日の長谷川さん自身の装いにも現れていました。顧客の前に立つときはスーツで決める一方、このような取材では、リラックスしたTシャツスタイル。しかし確固たる美意識に貫かれた長谷川さんがこの日選んだのは、スビンプラチナム素材を使用した+CLOTHETの「Tailored Half Sleeve T-shirt」でした。
「Tシャツは半袖も長袖もよく着るんですが、長袖の場合は肘まで捲し上げて着ることが多いんですよ。今日着ているハーフスリーブは、最初から“捲し上げている”ような状態を作れる五分袖というイメージ。袖口がリブになっているのがポイントですよね。これって地味ですけど、すごい発明だなと思って(笑)。生地の光沢感もありますが、普通の半袖や、長袖を捲くるより断然上品に見えますね」
「Tailored Half Sleeve T-shirt」のありそうでなかったデザインと、袖口のリブがもたらす端正なルックスを評価する長谷川さんですが、同じくスビンプラチナムのパイル地の半袖Tシャツも気になるご様子。サラッとしたドライな肌触りが心地よいスビンプラチナムのマイクロパイル素材なら、今年から本格的に再開した、波乗りの際に重宝しそうだと笑います。
2017年、世界で初めて開催された靴磨きの世界大会において、長谷川さんは初代チャンピオンに輝き、文字通り世界一の靴磨き職人となりました。旧来の常識を軽やかにひっくり返し、自らの“ファッション&ビジネス”センスで颯爽と塗り替えていく───その自由で革新的な姿勢は、多くの支持を獲得するオリジナル商品の開発、そして日本独自の靴磨き大会開催へと繋がっていったのです。
世界一の称号を手にし、業界に革新をもたらす旗振り役となった長谷川さん。近年は会社経営や靴磨きの普及活動、後進の育成に注力し、2025年度の大会では自社から世界王者を輩出するなど、見事な成果を残し続けています。そしてその視線は、はるか彼方を見据えているようです。
いま向き合っているのは、コロナ禍を経て人々のライフスタイルやビジネススタイルが変革し、厳しい環境に置かれながらもさらに奥深く、力強さを増した靴磨きという文化を、いかにして未来へと継承していくかという問いなのだとか。
「革靴そのものがニッチで趣味性の高いものとなり、このまま靴磨きという文化そのものが失われてしまうことを危惧しています。スニーカー磨きというサービスも提供していますが、あくまで、汚れを落とすことが目的ですから……。靴磨きを未来へと受け継ぐには、もう“道”にするしかないと考えています。茶道、弓道、剣道などのように“道”として確立されることで、必要性とは無縁の文化として遺すことができるはずです」
実用的な需要がなくなっても、精神性を伴う「道」になれば文化は遺る。長谷川さんは“靴磨き道“を確立し、「靴磨きを通して自分を磨く」という新たな価値を創造することで、この文化を100年先へ繋ごうとしているのです。
「僕は2024年に現場を離れ、職人を引退して“靴磨き家”になることを宣言したんですよ。20歳で靴磨きをはじめ、40歳まで職人としてのキャリアを全うしました。60歳までの次の20年間は、“靴磨き道“の家元として靴磨きを芸術へと昇華させる取り組み、人を育てることを追求したい。60歳の先ですか? 60になったら仙人になって……、山に籠もって隠遁生活を送りたいですね(笑)」
かつては路上で埃にまみれる日陰仕事と見なされていた、靴磨き。そのイメージを覆し、オーセンティックなバーカウンターでサービスを受けるかのような、ラグジュアリーで新しいカルチャーへと昇華させた、靴磨き職人改め、靴磨き家の長谷川裕也さん。そのロールモデルが、既成概念を破壊し新たな価値を生んだ茶人、千利休だというのも納得です。
「利休は古典ですけど、思い切りパンクな思想の持ち主ですよね。現代のパンク好きとしても、非常に共感できる(笑)。何かを遺すためには、職人気質だけじゃだめ。利休のようなビジネスマン的素養も持ち合わせていないと、絶対無理だと思うんです」
路上からスタートした青年の物語は、今や一つの文化を未来へ継承するという、刺激的かつ壮大な新章へと突入しているようです。
長谷川裕也 1984年千葉県生まれ。製鉄所勤務、英語教材の営業などを経て、2004年、20歳の時に路上で靴磨きを始める。08年、東京・南青山に靴磨き専門店「Brift H(ブリフトアッシュ)」を開店。17年には靴磨きの世界一決定戦「World Championships of Shoe Shining」の第1回にて、記念すべき初代チャンピオンに。著書に『自分が変わる 靴磨きの習慣』(ポプラ社刊)などがある。 Instagram
Photos: Tohru Yuasa
160年以上、約生地の企画・製造・販売に携わってきた私たちだからこそ、自分たちが認めた生地を直接消費者に届け、その価値を知ってもらうことを第一に考えて開発したこだわりの商品です。
+ ABOUT US
+CLOTHETは「世界中のすばらしい生地(CLOTH)をあなたのクローゼット(CLOSET)に届けたい。」この想いを胸に、関わるすべての人たちに優しいブランドであることを目指しています。
160年以上続く生地サプライヤーであるからこそ成し得ることができる、国内外からの原料調達から生地開発、製造と洋服が作られるすべての工程を一貫で行っています。そのため、クオリティ、価格において「商品の最適化」の実現を目指しています。
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